2014年10月23日木曜日

あいちトリエンナーレの作品解説に挑戦!:宮本佳明《福島第一原発神社》

宮本佳明《福島第一原発神社》
あいちトリエンナーレ2013
2013年8月10日(土) ~ 10月27日(日)
愛知芸術文化センター会場


 宮本の建築家としての代表作であり自身の建築事務所の《ゼンカイハウス》は過激である。阪神淡路大震災で、神戸市の木造の実家は全壊判定を受けた。普通であれば全て取り壊して建て直すことになる。しかし、そうせずにまるで骨折用のギブスのように鉄骨で補強し、内装も外装も元の木造部分をできるだけ残しリノベーションした。したがって、デザインとしては全く美しくない。畳の部屋から、斜めに貫いている鉄骨が剥き出しで見えるほど異観だ。
 《福島第一原発神社》はそれ以上に過激であり、異様である。宮本は、これを発表すべきかどうか、かなり悩んだという。当然だろう。世間から事故を起こした原発を神としてあがめるのかという批判を受けるかも知れない。
 しかし、崇高なものを礼拝することと、祟(たた)るものを鎮魂することは裏表である。「祟」という文字が共通しているからだけではない。その典型的な例が、菅原道真である。日本最強の怨霊は結局神様となった。人間が生み出した最強の力が人間の制御を超えて暴走する。人々はそれをまるで自然からの祟りとおそれる。「おそれ」も畏怖と畏敬の二重の意味がある。
 原発事故に対する多くの日本人の整理しきれない心情は、「原発」を「神社」にすることを意外にも自然に受け入れるかも知れない。


egg:武藤祐二




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